感想 劇場版『BanG Dream! FILM LIVE』ライブ風映画を追求した先に、視聴者へ見せたかったものとは

2019年10月1日

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バンドリ 劇場版 感想
 
5人で1組のガールズバンドが、それぞれの夢を追いかけていく物語、『BanG Dream!』。
筆者は、TLで話題になったストーリー『もういちど ルミナス』でどハマりし、アニメ2期に感動するなど、後発組ではあったが、公式はいつも濃密な体験を届けてくれた。
 
先日公開された劇場版『BanG Dream! FILM LIVE』も、個人的には満足のクオリティで、幸福感に満たされながら、劇場を出た。
 
特に、ガルパやアニメを追いかけてきた人だけでなく、バンドリを知らない初心者にも十分に楽しめる作りになっているのは面白いと感じた。
 
そこで、どんなところが印象的だったのか、下記に記していこうと思う。
バンドリーマーだけでなく、バンドリに興味がある人も、参考がてら読んでくれたら幸いである。
 

既存曲でも一味違う、ライブ感を突き詰めた映像

 
『FILM LIVE!』は、かなり特殊な映画の構成となっている。
 
舞台となるのは、広い野外ライブ会場。
各バンドの演奏3曲(3曲目はフル)、MCなどを挟み、次のバンドに繋げる。それをメインとなるガールズバンド5組で繋いで行き、最後にアンコール……といった感じだ。流れる曲は、主にアニメ2期のものが主となっている。
つまり、各バンドのMVを全面的に押し出した映画となっている。
 
じゃあ既にアニメを視聴したファンは新鮮味が無いか、と言われると少し違う。
なぜなら、

「一部曲のMVがフル仕様」
「ライブ風の特殊演出」
「時間経過による背景の変化」
 
の三点が加わっているからだ。これがどう変わってくるのか、順を追って解説していこう。
 

フルMVだからこそ見つかる、新しいワンシーン

 
まず、フル仕様になった曲について。
 
これまで、3DアニメでMVを流す作品、というのは色々出てきたが、フルで流すケースは見なかった。
 
特に特徴的だったのは、「二重の虹(タブルレインボウ)」。間奏パートが入ったことで、たえのギターソロパートが映し出されるなど、ショートVerのアニメでは中々見られない場面が見れる。
 
また、最近発売した曲が主にフルになってるのがまた贅沢な話で、『FIRE BIRD』のCメロ、メンバーが歌い繋いでいく大サビ前の高揚感も、劇場の立体音響だとビシビシと伝わってくる。
聴いたことのある筈の曲を、より深い味わいを出すようにしたのは、劇場版だからこその、細かな作り込みが感じられた。
 
加えて、『きゅ~まい*flower』に至っては、視聴した9月17日時点ではCDが発売してない訳で。「え、まだ発売してない曲をフルで、しかもMV付きで視聴していいのか……!?」と困惑する程に、贅沢な仕様になっている。
 

リアリティあるライブの世界へ

もう一つ、ライブ風の特殊演出について。
 
今回の映像は、「リアルのライブを想起させる」ように作られているのが特徴的だ。
 
これが顕著に出てたのは、先程も取り上げた、『きゅ~まい*flower』だ。
『きゅ~まい*flower』では、サビの部分で、合いの手として観客のハンドクラップ音が加わっている。
 
これは、アニメ2期13話で流れた時には無かった演出。
しかも、大サビの方ではクラップ音が最初より強まっていて、会場のボルテージがどんどんと高まっていってるのが伝わる。
恐らく、こうした細かい音の演出はライブ感ある本作だからこそであって、CDではなく、『FILM LIVE』でのみ楽しめるのだろう。
 
アンコールで歌う、『BRAVE JEWEL』も、アニメOPで流れるとは若干異なるポイントが存在する。
 
Roseliaは3曲歌った後、引き続きアンコールで『BRAVE JEWEL』を歌う流れとなっている。そのせいか、アウトロの方で友希那が肩で息をしている様子が映し出されるのだ。
1話1曲が主となるアニメ構成では、こうしたシーンは中々見られない。
 
このように、「実際のライブならこうなるだろう」という演出があちこちに散りばめられている。一度では把握しきれないほどだったので、是非劇場でそのディティールに気付き、噛みしめてほしい。
 

時間経過を意識した、ムードの変化

 
三点目、時間経過による場の雰囲気の変化について述べたい。ここは、さりげなくも、しかし一番巧い演出だと唸る部分だった。
 
従来のバンドリでは、屋内のライブハウスが主だったが、今回の舞台は野外ライブである。
 
そのため、ライブが進行していくにつれ、空模様がどんどん変わっていくのだ。
 
昼間の太陽を背にPoppin’Partyが明るく歌うスタートから、Afterglowと茜色の空がシンクロし、日が落ちた中、薄いライトに照らされたRoseliaがシメを飾る。
 
リアルタイム感を演出しつつ、バンドの特徴に合った光の当たり方になっている。野外ライブだからこそ生まれる空気を、最大限に生かされていて、これにはライブ感を出す徹底さを痛感させられた。
 
 

バンドリ初見の人でも楽しめる、製作陣の細かな気配り

 
このように、実際のライブのように、次々と曲を繋いでいく今作を「ストーリーが薄い」と捉える人も居る。だが、これもまた違うと思う。
 
私はむしろ、「初見の人も楽しむため、ストーリーを多く含まないこと」が、今作で一番意識していたことだと考えている。
 
序文の方でも書いたが、「バンドリを知らない人にも楽しめる」と思わせる気遣いが、あちこちに散りばめられている。
 
まず、イントロの部分では、各バンドのメンバー紹介の映像が流れる所から始まる。限られた尺を使い、わざわざ紹介のパートを入れるということは、「この作品は初めての人でも楽しんでいっていいですよ」と冒頭でアピールしているのだ。
 
また、時系列自体は2期の続きなのだが、2期の延長線であることは細かなシーン、曲選から伝わるが、アニメ本編の内容には極力触れていない。
裏を返すと、アニメ本編の内容を知らない人でも、するりと入り込んでいける、ということになる。
 
また、それぞれのバンドのMCも、キャラの個性を出しつつ、「いつも通り」を感じさせるやりとりに収まっている。
そのため、既存のファンにとっては馴染み深く、初見の人にとっては「こんな雰囲気のバンドなんだなぁ」と何となく伝わるように出来ている。
 
つまり本作は、「バンドの新しい一面を知る」というより、「バンドの魅力を深掘りする」「初見の人に伝わりやすいシンプルな構成」を目指した映画なのだと考える。
 
アニメ2期、劇場版と続くと、物語に一つのピリオドを打ちそうなイメージがある。だが、敢えて本編の情報を少なくし、むしろ初見の人への入り口を広げる作りにしたのは、バンドリというコンテンツはこの先も続いていくことを示すメッセージであり、この構成にしたのは英断だと言っていいだろう。
 
 

まとめ 異色なコンセプトは、果たして功を奏したか

 
以上、今作の特徴について紹介してきた。
『BanG Dream! FILM LIVE』は、ストーリーのクオリティが重視される昨今の映画事情としては斬新な試みだった。
劇場だからこそ響く立体音響を生かし、ライブ感を出す一点に注力したのは、意見の分かれる所だろうが、私は良かったと思っている。
 
リアルのライブに行ったことは少ない筆者だが、それでも、合いの手を入れたり、コールに応じたくなる欲求に駆られるほど、テンションが高い状態をキープしていた。通常上映で視聴したが、これは応援上映ならより楽しめる熱量が存分に含まれた作品だろう。
 
映画媒体としての可能性を広げ、新たな境地を導き出した『FILM LIVE』。
 
この映画から入り、彼女たちのバンドとしての成長が語られる「ガルパ」「バンドリ」の世界に飛び込んでいくのも、一つかもしれない。
 

 

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