劇場版『冴えない彼女の育てかた Fine』を観る前にプレイしてほしい、丸戸史明シナリオの名作3選

2019年10月16日

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冴えない彼女の育てかた 劇場版 おススメ

2019年 10月26日、『冴えない彼女の育て方 Fine』が放映される。
個性豊かなヒロインたちと繰り広げるギャルゲー製作ラブコメが、遂に最終章を迎える。
『WHITE ALBUM2』で丸戸作品にどハマりし、その勢いでずっと追いかけてきた身としては非常に感慨深い。

原作者である丸戸史明氏は、テーマとなったギャルゲーのシナリオライターを実際に多数担当しており、「泣きゲー」と呼ばれる名作を生み出し続けた、「ギャルゲー十傑衆」として名高く評価されている。

この記事では、『冴えカノ』を視聴した人も楽しめる、丸戸担当シナリオのゲームを3つに絞って紹介していく。
基本的な作風は王道ラブコメということで、冴えカノのヒロインを連想させるようなポイントもあちこちに散りばめられている。10年以上語り継がれる名作なので、興味を持ったら是非遊んでみてほしい。

パルフェ 〜ショコラ second brew〜

冴えない彼女の育てかた 丸戸文明 パルフェ

「あなたの周りの世界は…あなたが思うより、ちょっとだけ、優しいよ」

今でも語り継がれる丸戸史明の名作を生みだしたのは2005年に遡る。
本作は、メイド喫茶をテーマとした作品『ショコラ 〜maid cafe ”curio”〜』の続編となる。続編とは銘打っているが、パルフェ単体でも十分楽しめる。

あらすじ

中世ヨーロッパの街並みをイメージした、大型ショッピングモール『ブリックモール』。
グランドオープンを数ヶ月前に控え、人気飲食店の誘致を積極的に推し進めていた。
喫茶店『ファミーユ』。主人公、仁の義姉、恵麻が経営していた欧風アンティーク喫茶。
火災により、店舗を失った。その間店舗休業中の喫茶店に、ブリックモールより出店の依頼が舞い込んだ。
店の復興のチャンスとばかりに、散り散りになったスタッフをかき集める仁。
ひとり、またひとりと戻ってきたり、戻ってこなかったりする仲間たち。
順風満帆とまではいかないまでも、なんとか開店準備が整ってきたとき、ほぼ同時に真向かいのお店の看板が掲げられた。そこに書かれていたのは“curio”。ファミーユと全く同じコンセプトの欧風アンティーク喫茶店。
それもそのはず。ファミーユは、curioの『二番煎じ』なのだから…


(公式サイトより引用)

本物に敵うはずもない。そう皆が口にする中、無謀と無茶と、お人よしなライバルのお節介もありながら、思い出の詰まった喫茶店を成長させていく物語。

高いシナリオの完成度と一つの仕掛け


この作品の魅力となるポイントは三つ。
いわゆる「萌え」としてのヒロインのキャラがバランスよく立っていること。
それでいて、朝ドラのような喫茶店ドラマとしても、完成度が高いこと。
最後に、「裏ヒロイン」の存在がとても大きいこと。

前者二つは、主に学生生活をしながら働く人たちの模様を描いていて、少年少女としての側面、働く大人としての側面の二面性を映している。だから、「萌え」と言ってもベタになりすぎず、ギャグ、シリアスごとにメリハリがきいているのが良い。

そして三点目。「裏ヒロイン」──里伽子の存在だ。
裏ヒロインとは、パッケージには出ていないが、圧倒的人気を誇るヒロインのこと。
冴えカノの詩羽先輩でもお馴染み、「元カノ」ポジションのヒロインだが、丸戸作品では総じて高い評価を得ている。里伽子はその代表的キャラと言っていいだろう。


ファミーユの仲間の中の元リーダー格。火災の一件以来ファミーユを手伝うことはなく、しかし放っておけずに店に来ては助言をくれる。
「情に流されるとロクなことにならない」が口癖な彼女の胸中とは。
泣きゲーの歴史に名を残した、里伽子の物語は、心に温かいものを残してくれるだろう。

冴えない彼女の育てかた 丸戸文明 パルフェ


もう一つ、この作品では、「家族」を主としたテーマが展開される。
だが、義姉の恵麻を含め、登場人物たちはみな血の繋がりはない。では、その中で「家族」として関係を築いていくとはどういうことか。注目しながら楽しんでほしい。

 

この青空に約束をー

冴えない彼女の育てかた 丸戸文明 この青空に約束を

『キミと交わした“あの日”の約束は、いまもこの島に息づいている──』

美少女ゲームアワード2006にて大賞を受賞。音楽もストーリーも総じてクオリティが高い一作。

概要

物語の舞台は、本州から離れた小さな島が舞台。
島はどんどん過疎化が進む一方で、主人公とヒロイン達が住む学生寮「つぐみ寮」は今年で廃寮になることが決定していた。
そんな中、不良転校生、凛奈がつぐみ寮に転入してくることで、物語は動き出す。
誰とも馴染もうとしない凛奈を仲間に引き入れること、校長と教頭の魔の手から『つぐみ寮』を守る戦い。
寮のみんなが一致団結して挑む、最後の一年が始まる。

 

ノスタルジックな空気が心地よい物語

あらすじで分かる通り、学園の理不尽に抗う、ベタな物語が「この青空に約束をー」だ
「じゃあよくある学園ラブコメじゃん?」とならないのが丸戸作品の凄いところ。
寮の解体に関わらず、一年後にはみんな、島を出て別々の進路に向かう未来が約束されている。
つまり、必死に寮を守り、どんなに幸せな時間を重ねても、つぐみ寮で一緒に過ごす時間は、これが最後の一年なのだ。


田舎じみた島で、馬鹿騒ぎをして笑い合い、古びた寮で、思い出を一つひとつ重ねていく。
パルフェは大人としての葛藤、関係の進展を描いた作品だが、対して「この青空に約束をー」は、丸戸の作品のなかでも特に「少年少女時代の思い出」にスポットを当てた作品だ。

冴えない彼女の育てかた 丸戸文明 この青空に約束を


そして迎えるグランドルート、「約束の日」は必見。EDで流れる「さよならのかわりに」は、あまりにもズルい仕組みが用意されている。

WHITE ALBUM2

 

冴えない彼女の育てかた 丸戸文明 WHITE ALBUM2

ワイトアルバムなんて知らない。
だって、もう何も歌えない。
届かない恋なんてしない。
だって、もう人を愛せない。

彼女がいる中、もう1人のヒロインに恋をしてしまう、「浮気」「三角関係」をテーマにした作品「WHITE ALBUM」をベースに作られた作品。
『パルフェ』同様、世界観を共有しているだけで、前作をプレイしていなくても問題はない。
複雑なテーマながら、今もなお根強い人気を誇っている。

 

概要

普段は人が良いが、自分の恋を絶対に諦めない芯の強さを持つ、小木曽雪菜。
不良で孤高、しかし世界に比肩する腕前のピアニスト、冬馬かずさ。
2人とも好きになるなんていけないと分かりつつも、心の奥底にある情動に揺り動かされる主人公、春希。


3人が出会い、学園バンドを作り上げていく高校生時代の「introduction chapter」、3人がバラバラになった後、もう一度関係を築き直していく大学生時代の「closing chapter」、大きく分けて二部構成になっている。

 

「両方に誠実」なんて不可能

テーマの時点で察しの通りだが、好き嫌いがはっきりと別れる作品ではある。
一方と結ばれることが、取り残された方を裏切ることになる。
雪菜とかずさ、両方に誠実である、なんて理想は叶うはずもなく、懊悩している間に時間は進んでいく。

では、この作品の魅力は何かというと、「悪人」がほとんど存在しないことだ。
春希は真面目でお節介、学級長気質な性格として学園で知られている。
だからこそ、親友である武谷、依緒も、何かに感づきながらも「頭の回る春樹だから、間違ったことはしないだろう」と、雪菜との関係をとりもち、励ましてくれる。
春希を責める描写がないのが、逆に罪悪感を加速させていく。


三角関係というテーマになっても、『パルフェ』や『この青空に約束を──』で描かれてきた、人の温かさは依然として存在し、読者を優しく包む。そして、優しさと倫理観がせめぎ合い、読み進めるほどに、心臓が真綿のように締め付けられるのだ。

冴えない彼女の育てかた 丸戸文明 WHITE ALBUM2


誰もが、大切な人を傷つけないように手を尽くし、最善で最悪の結末に転がっていく。
純愛観を金槌でかち割るような、ディティールの強度と残酷さを併せ持つ作品だ。
苦悩の末に選んだ答えは、多くの人に強烈なインパクトを残し、今でもメディア展開が続いている。

 

まとめ 名作を読むのに早いも遅いもない

以上、丸戸史明がシナリオを担当した3作を紹介してきた。

冴えカノアニメ終盤のような恋愛模様を楽しみたい人は『パルフェ』
冴えカノアニメ前半のような学生時代のから騒ぎを楽しみたい人は『この青空に約束を──』
丸戸史明の真骨頂であり、シリアス面を濃縮したディープなドラマを味わいたい人は『WHITE ALBUM2』

をオススメしたい。

ここまで読んだ人の中には

「アニメとギャルゲーって面白さが違うんじゃないの?」
「10年前の古い作品なんて今更読んでもピンとこないでしょ」

と思う人も居るかもしれない。
だが、それは断じてNOだと言い切れる。

丸戸作品は面白さの方向性に共通項があり、ありふれた日常と、その中で育まれる普遍的関係性を描いてる。

「家族の喫茶店をもう一度立ち上げること」
「最後の一年、たくさんの思い出を積み重ねていくこと」
「大切な1人と結ばれるための苦悩と決心」

だからゲーム・アニメの媒体関係なく、いつプレイしても面白いし、手に取るタイミングに早い遅いはないのだ。

これら3作は、劇場版を観にいく前に楽しんでもいいし、観た後でも余韻をリフレインすることが出来る。
冴えカノの見え方が広がる作品たちを、是非プレイしてみてほしい。

 

余談

冴えカノヒロインたちが歌う、ギャルゲーカバーソングコレクションが、劇場上映に際して9月25日に発売される。


ラインナップの中には、上記で紹介した『パルフェ』『この青空に約束を──』のOP『Leaf ticket』『allegretto ~そらときみ~』も含まれている。
他にも『Little Busters!』『未来への咆哮』『小さな手のひら』など、黄金期に流行った名曲ぞろい。

歴戦のギャルゲ―ファンの方は、こちらも要チェックだ。

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